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2007年4月22日 (日)

アンサンブルフィルムジカ第37回定期演奏会

標記の演奏会に行ってきました。
長年貫いてこられたスタイルを活かした、素敵なコンサートでした。

演奏終了後に伺ったところでは、1曲目は奏者の皆さんそれぞれに緊張されていたとのことでしたが、私はその「組曲『ホルベアの時代より』(E.グリーグ)」を面白く聞かせていただきました。楽章ごとに多彩な色合いで、マンドリンアンサンブルによく合っていたと思いました。
ギターを持たない、マンドリン・ドラ・セロ・ベースの5パート編成は、ギターを備えていた場合にデメリットとなる問題がなく、おおよそ同種の楽器で編成されている分、音の完成度を高いと感じる箇所をいくつも垣間見ました。
もうひとつ面白かったのは「マンドリンアンサンブルのための『火口原湖』(大栗裕)」。同氏の作品は決して凝った作りではないのですが、曲の構成にいつもセンスを感じますし、この作品もそうでした。かつて作曲者名を伏せて作品を聴くことがあったのですが、「すばらしいなぁ」と感想を述べたときのものが、大栗作品でした。こういった委嘱作品をもつ点は、フィルムジカが他と大きく差別化される、すぐれた点の一つでしょう。

指揮者なしのアンサンブルですが、演奏はよく安定していたと思います。特筆すべきは、まず主宰の横田綾子さんのリーダーシップでしょう。必要充分な指示を自然に送っていたことと、奏者の何人かはこれを食い入るように視界から外さず、しっかりと演奏していたことが印象の残っています。
もうひとつは、ベースの方のセンスとレベルの高さです。アンサンブルとはいえ距離が離れた位置で、大型楽器を指揮なしで演奏するのは、困難なことと思います。自身の大きな音とアンサンブル全体と調和させる判断力や、身体の中のリズム、そして積み重ねた練習量が裏付けるのでしょう。

パートによって、また奏者によって、音量の捉え方が異なる点は、今後の課題ではないでしょうか?「アンサンブル」の形態を取るゆえに、大合奏以上に各パートの「演出」が求められると思います。自分のパートに出番が来たときでも、充分な音量と歌い上げができなかった箇所を、いくつもみることがありました。
「横田綾子」という素晴らしいソリストが身近におられるわけですから、その「前に出る音」の出し方を盗む工夫をしてみる余地があると思います。指揮者不在であるがために、アンサンブル全体の音量バランスは調整が困難かもしれませんが、それを克服する策はいくつもあるはずです。
もうひとつ、立礼をする際の奏者の皆さんの視線の多くが下を向いていたことは、改善すべきでしょう。客席がステージから近く、気恥ずかしかったとは思いますが、こういった点を気配りするだけで、聴衆と奏者の心の通いが一段違うはずです。

次回は2008年3月16日にジョイント・コンサートとのこと。
まだまだ先のことではありますが、都合をつけて是非次回も聴かせていただきたいと思います。このアンサンブルの力量とチームワークで、またきっとすてきなステージを魅せてくれることでしょう。
皆さん、お疲れ様でした。

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